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フォードKA。『KA』と書いて『カ』と発音する。実に呼びづらい車名だ。
フォードと一口に言っても、アメリカフォード(本家)、ドイツフォード(またはヨーロッパフォード)、日本フォードと、大体3つに大別できる。車種で言えば、トーラスやエクスプローラーはアメリカフォード、KAやモンデオはドイツフォード、イクシオンやフェスティバミニワゴンは日本フォードとなっている。開発された地域によって、そのクルマの性格も大きく変わってくる。ドイツフォードで開発されたKAは、どちらかと言えばアメリカ車と言うよりはヨーロッパ車と言った方がしっくりくる味付けのクルマだ。
まずいい点から書いていこう。と、こうやっていい点を先に書くということは、だいたい結論では「しかしここがよくなかった」と悪い結論に落ちるということなんだけどさ。
妙に軽いクラッチペダルを徐々に戻してギアをつないで走り出した。日本車のように無理に演出したピックアップではなく、きちんと低回転からトルクが出ていることを感じる出足。スペック上の馬力はショボいのだが、日常的に街乗りする場合には、こういうことの方が大切なのだ。特にMT車の場合には、低速トルクが大きければ発進の際に神経をすり減らさずにすむ。
また、日本車のようにアクセルの踏み込みのときに回転数をあげてパワー感を出している訳ではないので、少々無理な発進をしてもホイルスピンするようなことはない。
ハンドル位置は、ちょっと起きているように感じる。運転手に無理にでも正しい運転姿勢を強いるような配置だ。他のヨーロッパ車に乗ったときにも感じるのだが、ついついダルな運転姿勢になってしまう私には、ありがたいと言うべきか余計なお世話と言うべきか。
車内の装備は、運転しながら使うには不便だ。カップホルダーを標準装備しているのは日本車の便利な点(同時に危険な点でもある)だが、KAは妥協点として床にカップホルダーを設置している。確かに衝突等の際に缶でケガをすることは防げるが……。運転しながら床にある缶を取るためにかがむのとどっちが危険なのかは比べてみろと言うことか?
さて高速道路へ向かうためにバイパスへと乗り入れてみる。出足がいいと書いたが、いいのは30kmくらいまで(笑) バイパスでの合流は結構命懸けである。3速全開で飛び込んで行く。なんとか合流して100km/h程度で流している間にも、上り坂に差し掛かれば4速へシフトダウンしなくては速度を維持できない。高速道路に向かいながら不安が募っていく。
さて東名高速へと乗り入れ。またもアクセル全開での合流。ためしに行けるところまで踏み込んでみる。力強いとはお世辞にも言えないダルな加速感を伴いながらの加速は、120km/hで一段落してしまった。5速全開である。そのままアクセルを床に押し付け続けると、数分ののちに140km/hにまでは加速。ただし、そこで道路が上り勾配となったために、イッキに110km/h付近にまで失速してしまった。なおも減速し続けるクルマを前へと進めるために慌てて4速へとシフトダウン。コレ、本当にアウトバーンのある国で作られたクルマなの?
高速道路上で唯一ヨーロッパを感じることのできたのはハンドリングのよさ。エンジンは限界まで回っているのだが、アシの方は全く余裕がある。直進、コーナーともに安定性はよかった。そのおかげで、ハンドルに気を使うことなく、速度の維持に神経を使うことができた(笑)
大体、なんでMTしか設定がないんだろう。私はクルマを返却した際にセールスマンに尋ねてみた。そうしたら、ヨーロッパではATに乗る人というのは極一部なので、ベーシックなクルマでミッション形式を一つに絞る場合には、MTにしてしまうのが普通なのだそうだ。だからと言ってそのまま日本に持ってきたって、「きゃー、これカワイー」って買うやつはAT限定免許だぞ?(笑)
まぁそんな訳でどこまでもヨーロピアンなクルマなのであった。
カタチが好きで、「いやぁ、ヨーロッパの小型車乗るならやっぱりMTだよ」とかウンチク垂れるのが好きならよいのかも。
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スペック |
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フォード KA 平成11年(1999年)式 |
型式 |
GW-WFOBJ4 |
エンジン型式 |
不明 |
排気量 |
1293cc |
エンジン形式 |
水冷直列4気筒OHC |
最高出力 |
60ps/5000rpm |
最大トルク |
10.5kg-m/2500rpm |
トランスミッション |
5MT |
ボディサイズ |
3660×1640×1400mm |
車両重量 |
940kg |
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